
法人としてクラウドファンディングの実施を検討しているけど、具体的なやり方が分からない。
こんな方に向けた記事です。
本記事の内容
- 【法人向け】クラウドファンディングの種類
- 法人クラウドファンディングのメリットデメリット
- 法人クラウドファンディングの成功事例
- クラウドファンディングの成功方法
- 会計処理について
この記事はWebマーケティング支援企業、株式会社リタテラスが監修しています。
当社のクラファン担当者は前職にて1プロジェクトで1億3,000万円を達成するなど、複数プロジェクトを成功に導きました。
独立後も、中小企業や農業法人のクラウドファンディングを支援し、いずれも目標の300%以上を調達しております。
→リタテラスのクラファン支援サービス
本記事では、これまで多数のクラファンプロジェクトを行なってきた実績をもとに、法人が行うクラウドファンディングについて解説していきます。
【法人むけ】クラウドファンディングの種類について

クラウドファンディングサイトはそれぞれで対応形態が決められており、以下3つに分類されます。
- 寄付型
- 購入型
- 投資型
それぞれについて詳しく解説します。
寄付型
寄付型クラウドファンディングとは、起案されたプロジェクトに対して支援者がお金を寄付する仕組みです。
募金と同様の仕組みと考えてもらえればわかりやすく、商品やサービスなどのリターンは基本的にありません。
被災地の支援や人権問題への取り組みなど社会的貢献に比重を置いたプロジェクトが多いです。
購入型
購入型クラウドファンディングは、起案されたプロジェクトに対して支援者がお金を支払い、その対価として商品やサービスを得られる仕組みです。
金銭的なリターンはありませんが、商品やサービスを購入する感覚に近いものがあります。
また、購入型には「All-or-Nothing型」「All-In型」の2種類があり、どちらかを選ぶことが可能です。
それぞれの違いは以下の表を参照ください。
All-or-Nothing型 | 目標金額に達成した場合のみ、プロジェクトが成立。 |
All-In型 | 一人でも支援者が出ればプロジェクト成立 |
投資型
投資型クラウドファンディングとは、資産運用を目的とする投資家に向けたものであり金融商品取引法の規制対象です。
そのため、資金の運用内容に基づく金融免許が必要となることもあります。
投資型クラウドファンディングは事業の立ち上げの際に利用されることが多く、支援者には分配金やサービスなどのリターンがあります。
投資型は購入型、寄付型とは異なり資金運用の目的で支援する人がほとんどで近年では支援者も増加傾向にあります。
法人が行うクラウドファンディングとしては、「購入型」が基本となります。
そのため本記事では、購入型クラウドファンディングについてご紹介します。
法人クラウドファンディングのメリットデメリット

法人が行うクラウドファンディングのメリットとデメリットを整理しました。
法人クラウドファンディングのメリット
- 融資よりも迅速に資金調達ができる
- 自社商品やサービスの宣伝ができる
- 消費者の声を直接聞ける
融資よりも迅速に資金調達できる
法人が資金を調達する際に一般的な方法が銀行に融資を受けることでしょう。
しかし、融資を受けるには書類の手続きや審査など時間がかかります。
なるべく早く資金を調達したいという場合には、金額によっては1年以上かかってしまうこともあります。
クラウドファンディングは自社商品・サービスに対して支援者が魅力を感じればすぐに資金が集まるのがメリットです。
自社商品やサービスの宣伝ができる
クラウドファンディングは資金調達だけが目的ではなく、商品・サービスの認知拡大を行えるマーケティング効果もあります。
特に起業当初は広告やSNSなどを通してブランディングを行いますが、コストや人的リソースがかかります。その上、効果が出るまで継続しなければなりません。
クラウドファンディングはプロジェクトを掲載すれば、多くの認知を取ることが可能です。
サイトによっては利用者数が500万人以上を超えていることもあるため、マーケティングの面で非常に優れていると言えるでしょう。
消費者の声を直接聞くことができる
法人がクラウドファンディングを行うメリットとして、顧客接点を持つことができるため消費者の声を直接聞くことができます。
クラウドファンディングを実施しても資金が全く調達できないこともあるでしょう。
その際には支援してもらえなかった理由を解明できるチャンスでもあります。
例えば、商品やサービスに欠点がある、魅力が伝わりにくいなど様々です。
今後、事業を成長させていくために消費者の声を直接聞いた上で、早期改善が行えれば、会社の売上を伸ばしていけるチャンスだと言えます。
法人クラウドファンディングのデメリット
- 企業のイメージダウンを招く恐れも
- 金額によっては集まりにくい
企業のイメージダウンを招く恐れも
法人がクラウドファンディングを行うにあたって、時には心無い発言を浴びることもあるでしょう。
その際に企業のイメージダウンの恐れもあります。
企業に一度悪いイメージがついてしまうと払拭するのは簡単ではありません。
そのため、リスクを理解した上でクラウドファンディングを行いましょう。
金額によっては集まりにくい
メリットの部分で先述した通り、クラウドファンディングは融資よりも迅速に資金調達ができます。
しかし、希望する資金額によっては融資の方が良い可能性もあります。
というのも、大手クラウドファンディングサイトであるCAMPFIREが調査した統計データによると、以下の結果がでています。
- 100万円未満のプロジェクト成功率:30%後半
- 100万円以上のプロジェクト成功率:30%前半
- 1000万円以上のプロジェクト成功率:20%未満
つまり、金額によっては融資での資金調達の方が効率が良い場合もあります。
あくまでも平均成功率ではありますが、プロジェクトの内容、資金調達額によってはどちらを利用するのか精査が必要です。
一部引用:CAMPFIRE統計データ
法人クラウドファンディングの成功事例
当社が支援した事例も含め、法人クラウドファンディングの成功事例を解説します。
法人クラファンの成功事例その1:繊維企業によるマスク販売クラウドファンディングで1億円以上調達!
当社のクラウドファンディング担当者が、前職にて達成した成功事例です。
繊維商社である豊島株式会社は、クラウドファンディングを活用して自社ブランドのマスクを販売しました。
2度にわたってプロジェクトを行い、1回目は3,000万円以上、2回目は1億3,000万円もの調達に成功。
2回目においては18,000人以上もの人にサポートしていただき、プロモーションに成功しました。
法人クラファンの成功事例その2:梨の加工品開発のクラウドファンディングプロジェクト

当社の面白い成功事例です。とある農業法人さんからご依頼いただき、「廃棄の梨を加工品として活用する」というプロジェクトを担当しました。
廃棄の梨からドライフルーツを開発するプロジェクト、廃棄の梨から梨シードルを開発するプロジェクトの2件を担当し、いずれも目標の3倍以上の調達に成功。
その話題性からさまざまな有名メディアに掲載され、農園のブランディングにも寄与することができました。
開発費用だけでなく広告宣伝費用まで削減することができた、法人クラウドファンディングの成功事例です。
クラファンの成功事例その3:国立科学博物館による運営資金獲得クラファン
引用:国立科学博物館
クラファンサイト「READYFOR」にて成功を収めたクラウドファンディングの有名な事例です。
開始から90日間で約5.4万人の支援者から約8.8億円を超える資金を集め、クラファン史上最高額、最高支援者数を達成しました。
国立科学博物館が驚異的な数字を叩き出し成功した理由は主に3つと考えられています。
- 受益者の多さ
- 館長が積極的に関わっている
- 寄付募集に踏み切った事情
まず1つ目の受益者の多さについては、過去に博物館に訪れた人に「勉強になった」「面白かった」と思わせられるような博物館作り、つまり、これまでの博物館としての培った活動が信頼に変わり、成功へと導きました。
2つ目は館長が積極的に関わっている点です。
クラウドファンディングにおいて、組織のトップが関わることは珍しく、国立科学博物館では館長が積極的に寄付を呼びかけました。
人員配置や高度な戦略の検討には組織のトップの関与が重要だとわかります。
3つ目は寄付募集に踏み切った事情です。
博物館が「新型コロナの流行」「世界情勢による光熱費の高騰」などにより経営状況が悪化していると支援者に伝えています。
これは理由もシンプルでわかりやすく、多くの人が支援する正当性が確保されていると言えるでしょう。
法人クラウドファンディングの成功方法
法人クラファンの成功方法その1:サイト選定にこだわる
まず大切になってくるのが、サイトの選定です。
購入型クラファンにおいては、初心者の方は「Makuake」「CAMPFIRE」といった、有名なサイトを活用するのが成功の第一歩でしょう。
法人クラウドファンディングの目的として「広告宣伝」が挙げられますが、有名サイトは利用者が多いことから、この目的に合致します。
ちなみに、以下の記事でさまざまなクラファンサイトを比較しているので、よければご覧ください。
→クラウドファンディングサイトを一覧比較!おすすめはここ【2024最新版】
法人クラファンの成功方法その2:プロジェクト実行理由にこだわる
特に以下の2点が重要です。
- シンプルでわかりやすい
- 社会貢献性
まず、「シンプルでわかりやすい」について。
クラウドファンディングにおいて支援者に理解されるプロジェクトであるのかは非常に重要なポイントです。
例えば、成功事例その3で紹介した「国立科学博物館」のプロジェクトでは、コロナや世界情勢が不安定による経営難が非常にわかりやすい理由となっています。
もちろん、これまでの活動による信頼を積み上げてきたものでもありますが、理由がわかりにくければ支援者としても「なぜ支援が必要なのか?」と疑問に思われてしまうでしょう。
支援者に理解を得られるかは別として、シンプルかつわかりやすい理由であれば支援者も支援の有無を判断しやすいと言えます。
クラファンサイトには多数のプロジェクトが掲載されていることから、支援者は各プロジェクトページをじっくり隅々まで読むわけではなく、なんとなくで読んでいます。
そんな温度感の閲覧者にも、プロジェクト実施理由がしっかり伝わるには「シンプルでわかりやすい理由」であることが肝要です。
次に、社会貢献性について。クラファンにおいては、「社会貢献性」の要素が大切です。
私たちが行なった、「廃棄梨を活用した加工品開発プロジェクト」はその一例と言えるでしょう。
「廃棄梨の活用」だけでも十分に社会貢献性を訴求できるのですが、私たちはさらに「加工品開発のノウハウを、他の梨農家にも伝えることで、地域全体の廃棄梨を減らしていく」という訴求も加えました。
このような、訴求をプロジェクトページに散りばめることが成功法の一つです。
法人クラファンの成功方法その3:リターンにこだわる
リターンとは、プロジェクトを支援してくれた人に送る返礼品のことです。
- プロジェクトに適したリターンであるか
- 支援者にとって価値のあるリターンであるか
これらを考えて設計してみてください。
法人クラウドファンディングの会計処理について
法人でクラウドファンディングを実施した際、原則は税金の対象になりますがクラウドファンディングの種類によって取り扱いが変わります。
ここでは、以下3種類の際の取り扱いについて解説します。
※必ず顧問税理士さんにご相談ください。
- 購入型
- 寄付型
- 投資型
購入型
法人が購入型のクラウドファンディングで資金調達を行なった場合、提供された資金は「売上」に計上します。
購入型は支援額に応じて商品・サービスなどを支援者にリターンするため、商品・サービスにかかるお金を「仕入」などの売上原価科目で会計処理します。
また、売上に計上するタイミングは資金を受け取った時ではなく、商品・サービスのリターンが終了した時点になります。
寄付型
法人が寄付型のクラウドファンディングを行なった際は、資金は全て法人の収入に計上します。
購入型と異なりリターンはありませんので、「雑収入」や「受贈益」などの科目を使用して収益となります。
ただ、寄付型の場合は対価性がないため消費税は対象外です。
投資型
法人が投資型のクラウドファンディングで資金調達した際は、新株式同様に「資本金」として計上します。
この資金をプロジェクトに使用して利益が出た際は、通常の会社同様に法人税などの税金が発生します。
投資型の場合は利益を分配することになりますが、この分配は「配当金」という名目で使用することになります。
法人クラウドファンディングまとめ
法人でクラウドファンディングを行う際は、責任を持ってプロジェクトに取り組む必要があります。
支援者と約束した商品・サービスができなければ、会社の信頼を失うだけでなくトラブルの原因にもなります。
メリット・デメリットを理解した上でクラウドファンディングを検討してみてください。
また、会計処理については資金調達の種類によって異なるため、わからない場合は専門家に相談してみましょう。
→リタテラスのクラファン支援サービス